拾われた猫。Ⅱ
ゆっくりと目を開くと、頬にはフワフワと気持ち良い感覚があった。
気持ちよさそうに寝息を立てるそれをゆっくりと撫でてやる。
すると、大きな瞳をキラキラと開かせ、耳をピンと立てた。
「にゃぁ〜」
嬉しそうに鳴いた彼女は私の顔をぺろぺろと舐める。
「…ノア、もう大丈夫だよ。
っっっ!!!」
ノアを抱き上げようと腕を動かすと、激痛が体を占める。
立つこと自体、きっとままならないんだろう。
それは容易に想像できた。
迷惑をかけるわけにはいかない。
痛む体をぐっと起こそうとする。
「う゛っっ!!」
痛みを堪えようとすればする程、激しくなっていく気がした。
「雨!!
駄目だって!!」
勢いよく開いた障子から平助が飛び込んで来たのだった。
私の体を支え、険しい表情を浮かべていた。