拾われた猫。Ⅱ
障子を開けると、待ってましたと言わんばかりに笑顔の総司が立っていた。
「おはよう、雨ちゃん」
「………………おはよう」
目を見開きながら、少し遅れてそう言うと「何、その間」と責め立てるような笑顔を浮かべた。
「体はもう大丈夫?」
「…まぁ…治りかけだったから、反動も少なかったみたいで、もう動ける」
ぎこちなくそう言うと、今度は嬉しそうに笑った。
「あー!
総司!」
反対側から聞こえたのは、平助の声だった。
小走りで近づいて来ると、総司と私を交互に映す。
「2人とも…もう大丈夫、なのか?」
幻覚を見るように私たちを見る平助に、私は微笑み、総司は呆れ顔を見せた。
「いつまでも床に伏せってる僕たちじゃないよ」
冷たく言い放ついつも通りの総司に安堵の表情を浮かべたのは、平助だけでは無い。
…苦労性の平助には特別心配を掛けたくなくて、能力の全てを話さなかった。
けれど、それが逆に平助の不安を煽ったのかもしれない。