拾われた猫。Ⅱ
「一はそんな事しない」
睨みながらそう言うと、苦笑いのまま肩をすぼめた。
「例えば話だ。
…ともあれ、あの猫又の制御は今はお前にしか出来ない」
私を指さし、口角だけ上げた。
「猫又は獣だ。
それを理解しろ」
彼が何故そんなことを言うのかは分からなかったが、〝ノアは大丈夫〟。
その確信が頭を支配して、差ほど気にしないようにする。
どうせ教えてはくれない。
「さて、そろそろ時間だよ、雨」
ポンポンッと私の頭を撫でて、霧の中に消えていく。
神出鬼没な彼に半ば呆れながらも、現実へと目を覚ましたのだった。