拾われた猫。Ⅱ
言葉にすることで、揺れそうだった心が決まった。
伝わるように、届くように。
「俺は大丈夫だよ。
今までもこれからも」
今までの思い出だけで、私は大丈夫。
皆が生きてるってだけで、私は大丈夫だ。
呆然と立ち尽くす彼らを置いて、部屋に戻り、外套に身を包んだ。
「…にゃぁあ」
ノアは私の足元に擦り寄ると、縁側に出て大きな瞳を煌めかせた。
凛々しく大きくなった彼はその場に伏せ、私を待っているようだった。
「…乗せていってくれるの?」
大きくなった顔は私を向いて待っていた。
ノアにニッと笑ってみせる。
ノアもついてきてくれるなら、私は1人ではないんだね…。
フワフワの体は大きくていつものようには、包んであげられない。
それでも私は精一杯彼女の体を抱きしめた。