拾われた猫。Ⅱ
ノアの背に乗って城を目指す。
今の私たちは間違えなく目立つ。
こんな大きなものが普通に隠れられるはずなんか無い。
遠回りにはなるが、山を超えることにした。
風を切る彼女は自由で、心做しか楽しそうにも見えた。
猫又は未知だ。
屯所から城は案外離れている。
にも関わらず、休憩を欲しないこの体力。
体の大きさのせいもあるが、猫又が人間に懐かない訳が分かった気がした。
本来生き物は自分よりも弱い者にはついて行かない。
それは自身を守るため、仲間を守るため。
人間に懐かないのはつまりそういう事だろう。
なのに、何故ノアは私を気に入ったのだろう。
命を助けただけでは説明がつかないような…。
───『神話ではただ一人懐いたと言われる者がいます』
ふと敬助の言葉が頭をよぎる。
「…〝麗神者〟…」
かといって、私がそれかと聞かれれば絶対に違うだろう。