拾われた猫。Ⅱ
「あぁ、山崎くんは赤木さんに連れられて一緒に行ったんだ」
思い出したようにそう言った局長に、周りは納得を見せた。
「…翔のやつも居ねぇみたいだが」
原田左之助はキョロキョロとしながら、そう言った。
だが、周りの隊士たちや局長でさえもその行方は知らないと、首を傾げた。
「あいつはまたフラフラと…」
頭を抱える彼に、永倉新八は笑いながらバシバシ背中を叩いた。
「まぁ、厠にでも行ってんじゃねぇかー?」
「そうだといいがな…」
能天気な彼を他所に、原田左之助は眉をひそめた。
眉間の皺を深めながら、一点を見つめる。
「何だぁ?
気になる事でもあんのかい?」
首を傾げる永倉新八を見て、頬を緩めた。
「いや、考えすぎだな…」
フッと笑うと、また自らの得物に寄りかかる。
「今日の酒は何にするかなぁ〜!」
もう仕事終わりのことしか頭にない永倉新八に、斎藤一は眉を寄せ、近藤勇は「ハハッ」と苦笑を返した。
そんな彼らを見ていたら、原田左之助の頭からは小さな疑問は姿を消していった。