拾われた猫。Ⅱ
「変な事は考えるなよ」
いつの間にか、障子は開かれていて、左之がそこに居た。
翔と別れてから、ずっと花を見ながら考えていた。
もう空は夕暮れだった。
「左之…、変な事って?」
クスクスと笑う私に近づいて目の前に胡座をかくと、頭をクシャリと撫でた。
心なしか、いつもよりも手つきが優しい。
「ここを出て行こう…とかな」
心臓がドキリと変な音を立てた。
所謂図星をつかれたというやつだろう。
「お前は賢い奴だからな。
殺したところで何の解決策にもならないというのは分かるだろうから。
…変な事考えてんじゃねぇかと思ってな」
呆れ笑いを浮かべながら溜息をつき、「案の定じゃねぇか」と私の額をつついた。
あぁ……いつからこんなに弱くなったんだろう。
たったこれだけの会話に、さっき決断したはずの心が簡単に無くなってしまった。
この人の笑顔だけで……、こんなに安心するものなんだ……。