拾われた猫。Ⅱ
「あの子が……!
あの子が悪いのよ!!」
そう叫ぶと、沖田総司の横をすり抜けて、原田左之助に抱きつく。
けれど、原田左之助は何の反応も示さなかった。
菊はそんなことはお構いなく、自分よりも大きなその体を力一杯抱きしめる。
「どうして…、どうして抱きしめ返してくれないの?!!
…っ!!!」
抱きしめたまま、彼を見上げて叫ぶ。
菊は彼の表情を見なければ良かったと後悔する。
原田左之助の表情はあまりにも彼女にとっては残酷だった。
彼女の方を向いているはずなのに、彼女を映していない瞳。
彼女の温もりを感じているはずなのに、表情のない顔。
菊はその場に座り込む。
「どうして私を見てくれないの…?
どうしてあの子なの……?
私と一緒にいるのに、あの子の声が…聞こえる度に……左之助様は愛おしそうにあの子の方を……」
震える唇を噛むけれど溢れるものは止まらず、大きな瞳からは雫が零れる。