イジワル社長は溺愛旦那様!?
「あ、そうなんだ……」
澄川はしきりに「弟さんか……なるほど……弟さん……」とつぶやきつつ、なにかをひとりで納得している。
「あ、そうだ。三谷さん、猫、飼ってるんだよね?」
「えっ、ああ、はいっ……」
一瞬『ねこ?』と思ったが、そういえば早く帰る言い訳として、猫を飼っている設定になっていたことを思い出し、夕妃はうなずいた。
「実はさ、お客さんにペットフードの会社があってね。そこの試供品を死ぬほどたくさんもらったんだけど、いらない?」
「――えっ?」
「自然派の高級フードらしいよ」
澄川はニコニコと微笑む。
「毛玉もきれいに吐けるんだってさ」
「そうなんですか……それは……とてもいいですね」
猫を飼ったことがないので、毛玉をきれいに吐くの意味がわからないが、雰囲気的にいいことらしいので、とりあえずうなずく。
「でしょ。ほんとたくさんもらったから、よかったら猫ちゃんにあげてよ」
澄川の爽やかな笑顔は、夕妃が猫を飼っているということを疑っていないのは明白で――。
「ありがとうございます……」
夕妃は罪悪感にかられながらも、うなずかざるを得なかったのだった。