イジワル社長は溺愛旦那様!?

「朝食べてないの?」


彼が入っている寮は、食堂がついている。土日以外は朝晩食事が出るのだ。


「いや、食べたけど消化した」
「ふふっ、そっか」


朝食を食べない湊と暮らすようになってから、作る機会は著しく減っている。そして朝陽と一緒に暮らしていた時は、彼は弁当含めて一日六食食べていたことを懐かしく思い出しながら、夕妃は冷蔵庫を開けた。



パン一斤分のホットサンドを食べた後、朝陽もシャワーを浴びて寝ぐせをなおした。

朝陽は身長百九十センチ超えのラガーマンだが、顔は夕妃とよく似ている。
柔らかそうな髪と、おっとりした優し気な二重まぶたで、どこか犬っぽく、撫でまわしたくなるような雰囲気がある。


「たまには泊まりに来たらいいのに」


結婚して半年、朝陽が泊まりに来たことは一度もない。

ドライヤーをかける朝陽の背中にそう言うと、彼はわしゃわしゃと髪をかき回して整えたあと、振り返った。


「湊さんもそう言ってくれるけど、新婚半年の姉夫婦の邪魔をするのもなーって」
「なにそれ。半年前はいきなり私のこと置いていったくせに」


神尾のマンションに転がり込んだ初日、たった半日で弟は姿を消したのだ。


「あ、今それを言う?」


朝陽はニヤリと笑いながら、そのまま夕妃の頭をポンポンと叩く。


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