イジワル社長は溺愛旦那様!?
「それお昼?」
夕妃はココアを飲みながら苦笑する。
「いや、お昼前のおやつ。買ってくる!」
朝陽はまじめな顔で首を振ると、財布を持って注文カウンターへと向かった。
背は高いが顔がかわいらしい雰囲気の朝陽は、よく目立つ。
朝陽を目で追いかける女の子があちこちのテーブルにいるのが、なんとなく姉として誇らしい。
夕妃はテーブルの下のカゴから備え付けのブランケットを引っ張り出して、コートの膝に乗せる。
それから湊の私用スマホにメールでもしようかとバッグからスマホを取り出したところで、頭上から声を掛けられた。
「――失礼ですが、先日の方ではないですか?」
「え?」
スマホを持ったまま顔を上げると、そこにひとりのスーツ姿の男性が立っていた。鮮やかなブルーのスーツの上にコートを羽織っている。三十代半ばの、彫りの深い男性だ。
(先日の……って)
ほんの少し考えていると、
「空港でお会いしたものです」
彼はにっこりと人懐っこい笑顔を浮かべた。