イジワル社長は溺愛旦那様!?

受け取って目を通すと、そこには誰でも知っているようなアメリカの超一流コンサルティング会社の名前が書いてある。
どうやら彼は、港区にある日本支社の一員らしい。


「すみません。名刺を持たなくて」
「ええ、構いません。一方的にお渡ししただけなので」


そして彼はにっこりと笑うと、

「ではまたどこかでお会いできたら、今度はお食事でもどうですか?」

会釈し、夕妃が苦笑すると同時にその場を立ち去ってしまった。


(さすがに三回目はないんじゃないだろうかな……)


そう思いつつ、夕妃は名刺をバッグの中にしまい込んだ。




「ねーちゃん、今の誰?」


どうやら見ていたようだ。朝日が怪訝そうな顔をして戻ってきた。


「お客様よ。以前仕事中にお会いした人」
「へー……」


椅子に腰を下ろしながらも朝陽の表情は浮かない。


「どうしたの?」


高校生の朝陽が、空港で会った外資系コンサルのエリートサラリーマンに面識があるはずがないが、なんだかその表情が妙に気になった。


「……いや、別に」
「そうなの?」


夕妃はひっかかるものを覚えつつも、結局そのまま流してしまった。



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