イジワル社長は溺愛旦那様!?
「贅沢すぎてばちがあたっちゃうよ……」
ため息をつきながら、目を閉じた。
翌日の朝から、夕妃は業界対象の展示会に湊と参加していた。
SNSやwebソリューション、マーケティングを対象としている企業のエキスポだ。
出展企業は五百を超えていて、かなり盛況である。各社のweb担当や広報、営業が自社製品を売ろうと熱心に声を掛けてくる。
「――すごい人ですねっ……」
夕妃はスーツ姿でごった返す、黒づくめの会場内をキョロキョロと見回しながら、必死で数歩前を歩く湊の背中を追いかける。
「三日間で五万人らしいですからね。迷子にならないように気を付けてください」
「はいっ!」
夕妃は元気よく返事をしたが、湊は振り返ることもしない。だが仕方ない。
彼は彼で、歩いているだけであちこちから声をかけられ、呼び止められては各社の担当者に企業ブースに引っ張り込まれているのだ。
そして夕妃も、湊のかわりに豪華なフルカラーのパンフレットを受け取ったり、メモを取ったりと、大忙しだった。