イジワル社長は溺愛旦那様!?

「あなたは俺とキスするとき、とても可愛い顔をしていた。またあんな顔が見たい……」


湊がしっとりとした声でささやく。

彼の背後にある大きな窓から、きらきらと太陽が昇り始めるのが見える。

まぶしい太陽の光に照らされたスーツ姿の湊は、うっとりするほどきれいだった。
まるで朝日に照らされる神様の彫像のようだ。

いや、実際、生まれる前から神様に選ばれる人というのは、いるのだ。

例えばこの神尾湊もそうだろう。


(王子様……だ)


夕妃はそんなことを思いながら、徐々に近づいてくる湊を見上げる。


逃げられない。
本当は逃げるべきなのに、体が動かない。
いや違う。
心が逃げることを拒否しているのだ。
惹かれるのを止められない。


「泣きそうな顔をしているね。それは俺のせい?」


少し困ったように笑う彼は、魅力的だった。


(確かに、神尾さん……湊さんのせいといえば、そうだ)


だがそれは自分の弱さのせいであって、湊になにか問題があるわけではない。

顔を寄せてきた湊の黒髪が、夕妃の髪と混じる。


(キス、しちゃう……)


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