イジワル社長は溺愛旦那様!?

「もっと気楽に、肩の力を抜いて、俺に甘えてみたらどうですか?」


甘えて――。

実に単純な湊の要求に、心臓がドキッと跳ね上がった。


そして湊は立ち尽くす夕妃に、

「では、行ってきます」

と告げて、マンションを出て行った。


(甘えて、なんて、人生で初めて言われたかも……)


出会ってからずっと湊にはドキドキさせられているが、今ほど気分が高揚し、新鮮な、目が覚めるような驚きを与えられたのは初めてだった。

幼いころから両親の不仲を見ていて、両親が離婚後も、自分がしっかりしなければとずっと思っていた。自分以外の誰かに迷惑をかけないよう、それだけを考えてきた。

朝陽と一緒に住むようになってからも、その気持ちは変わらなかった。

むしろ朝陽のためになんでもしようと思っていた。


人生に不満なんてない。
他人と自分を比べることもない。
私はこういう星のもとに生まれたのだからと、すべてを受け入れてきたつもりだった。

なので自分が他人に甘えるなんて想像もつかない。


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