イジワル社長は溺愛旦那様!?
おそらく彼が一日中この部屋にこもっている夕妃のためにと、事前に用意してくれたのだろう。
「わ、すごいな……」
ネクタイを緩めながらキッチンの中にやってきて、並べられた料理に目を細める。
魚の煮つけ、野菜の炊き合わせ、なめこのお味噌汁に、おあげの炊き込みご飯だ。
「甘えてと言ったのに」
その言葉を聞いて、夕妃はメモにペンを走らせる。
【これは私がやりたいことです】
「――そうなの?」
【おいしいものを食べるのも作るのも好きです】
すると湊がクスッと笑って、うなずいた。
「若干俺にとって有益すぎる甘え方だけど、ありがとう」
【どうぞ召し上がれ】
夕妃も笑って、それに応える。
湊との食事は楽しかった。
もちろん夕妃はほぼ聞き役なのだが、湊の話は多岐にわたっていて、たとえば夕妃の趣味が編み物だと知ると、冬が長い北欧で編み物をして過ごす友人家族の話をしてくれた。
自分はほとんど口がきけないのに、まるで会話が弾んでいるような気がするのである。
(楽しいな……)
食事を終え、食器を片付けたあと、ふたりでお茶を飲む。
ちなみにお茶は湊が淹れてくれた。