イジワル社長は溺愛旦那様!?
彼の指が下ろした夕妃の髪の中を優しく梳く。
その指使いはなだめているようにも、落ち着かせているようにも思えるし、夕妃の厳重にカギがかけられている心の扉を開かせようとしているようにも感じられた。
「……夕妃さん、口を開けて」
何度か唇を重ねた後、湊がささやく。
(くち……)
ぼうっとした意識の中で口を開くと湊のキスが深くなる。
熱い舌が口の中に入ってきて、夕妃の中を這う。
煽情的な動きに、心と体が湊に徐々に染められていく。
夕妃はうっすらと目を開けて、湊と見つめあう。
今朝、湊は『あなたは俺とキスするとき、とても可愛い顔をしていた。またあんな顔が見たい……』そう言っていた。
その言葉の通り、湊はじっと夕妃を見ていた。
彼の言葉、口づけ、指先、眼差しから――夕妃に向けられる情熱が伝わってくる。
「……大丈夫ですか?」
長いキスの時間のあと、湊がぐったりと力が抜けた夕妃をかかえるようにして抱いて、問いかける。
(大丈夫かって……大丈夫だけど、大丈夫じゃない……かも)
夕妃はぼうっとした意識の中で、うなずいた。
「ゆっくり深呼吸して……」
湊の言葉に合わせて息を吸い、吐き出す。