イジワル社長は溺愛旦那様!?

「――本当は、このままあなたをベッドに連れて行きたいと思っていたけれど……」


ぐったりしたままの夕妃の背中を大きな手のひらがなでる。


「やめておく」


(それって……どういう意味?)


夕妃は湊の胸に抱かれたまま、顔をあげる。

このあとのことなんかまったく考えていなかったが、ベッドに行くという言葉の意味は当然分かるし、こんな風に求め合うようなキスをしておいて、そういうつもりはないと言われるほうがずっとショックだった。

湊が自分が思うほどは、自分を求めてくれていないのかもしれないと思うと、やはり胸が苦しくなる。

すると湊はふっと笑って、そのまま夕妃の額にキスを落とす。


「またそんな泣きそうな顔しないで。俺が言ってるのは、あなたに無理をさせない自信が俺にないってことだ」


(無理……?)


すると湊はどこか困ったように視線をさまよわせる。


「――だから……言葉のあやでもなんでもなく」


なんでもはっきり言う湊らしくない言葉に、夕妃は首をかしげる。


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