イジワル社長は溺愛旦那様!?
「今日は明日早く帰るために、仕事頑張りますので」
【遅くなるんですか?】
「ええ。おそらく日付が変わるでしょう。夕妃さんの手料理を食べられないのは残念ですが」
少しおどけたように湊は肩をすくめたが、やはり彼の仕事は忙しいらしい。
(そういえば私、湊さんがなにをしているかも知らないんだ……でも、そんなのどうだっていい)
【わかりました】
夕妃はうなずいた。
「では夕妃さん、行ってきます」
湊は飲んでいたカップを食器洗浄機に入れて、それから夕妃の両肩に手を乗せ顔を近づける。
(湊さん……)
両手にカップを持ったままの夕妃は、ドキッとしながら目を閉じる。
額に軽く唇をが押し付けられる感触のあと、その唇が今度は耳元に移動した。
「昨晩のこと。いろいろ言いたいことはありますが、全部込みで、またの楽しみにします」
低く、艶のある声は、敬語だからこそ余計、色っぽく響いた。
(全部込み……楽しみって……そういうこと、なの?)
期待してもいいのだろうか。
いや、せめて期待していたい。
彼との時間は限られているのだから。
夕妃は恥ずかしさに頬を染めながらも、うなずいて湊を見上げた。