イジワル社長は溺愛旦那様!?
顔をあげると、さきほどの男子が小さな声で「お詫びです」とささやいて、また厨房のほうに戻っていく。
どうやらグラタンを食べ損ねたサービスで出してくれたらしい。
(いいお店すぎる!)
夕妃は心の中に存在する、世間で言う【デスノート】とは真逆の存在の【いいことあったねノート】にこのことを書き記しながら、プリンを見つめてにっこり微笑んだ。
食後のプリンをしっかり堪能した後、壁にかかっているコートを取り、レシートを持って立ち上がり、レジへと向かう。
レジに来たのはあのプリンをくれた男の子だ。
支払いを済ませ「ごちそうさまでした。次はもう少し早く来ますね」と告げると、彼はちょっとだけ目を丸くした後、少し嬉しそうにうなずいた。
「お待ちしております」
いい店を開拓できたとホクホクしながら会社に戻り、化粧室で歯磨きを済ませてメイクをなおしていると、入り口付近から女性社員たちの話声が聞こえた。
「そういえば聞いた?」
「なにをー?」
「うちの社長、そろそろ本社に戻されるかもっていう話~」