イジワル社長は溺愛旦那様!?
湊にはあと三人兄弟がいるのだ。いったいどんな人たちだろう。
「落ち着いたらな」
湊がクスッと笑う。
「うん。じゃあまた」
閑は名刺を受け取って軽やかにドアを出て行った。
その背中を見送ったあと、ふと湊が思いついたように声を上げた。
「あ」
(どうしたんですか?)
首をかしげると、同時に、湊がハアッとため息をついた。
「俺と君の婚姻届も用意しておくべきだった」
(えっ!)
いきなりの婚姻届という単語に心臓が跳ね上がる。
「朝陽くんから、届は出してないと聞いていたけれど」
リビングに戻り、夕妃はメモを書く。
【婚姻届はハネムーンから帰ってきてから出す予定でした】
「ハネムーン……」
湊の表情がくもる。
「ちなみにどこに行く予定だったんですか?」
【ハワイです】