イジワル社長は溺愛旦那様!?
モテてモテて仕方なかった湊が、自分の意志で、いろいろと面倒を抱えている夕妃にプロポーズをしたのだ。
それは当然彼の人生においてとても大きな選択だった。
だから夕妃にとって、湊の選択を信じないということは、今のふたりの幸せを侮辱することだ。
(人生って、いいこともわるいことも、半々よね。湊さんがモテるなんて前からわかってたことなんだから……こういうこともあるってある程度は割り切らないと……)
夕妃に他人の気持ちをどうこうすることはできないのだ。
とりあえずそう自分に言い聞かせ、思考を仕事モードへ切り替えることにした。
何事もなく一日の仕事を終えて、PCの電源を落とす。
「夕妃ちゃん、お疲れさまー」
「恭子さん、お疲れ様でした」
夕妃は立ち上がり、部屋の隅に掛けてあるコートを羽織った。
そしてバッグの中に手を入れて、「あれ?」と首をひねる。
目当てのものが見つからない。
「どうしたの?」
同じくコートを羽織っていた恭子の問いかけに、夕妃の眉が下がる。
「手袋がなくって……」
言いながら、全身からどっと冷汗が出てきた。