イジワル社長は溺愛旦那様!?
「だから……さすがにどこでもいいってわけにはいかないが、夕妃が働きたいのなら、俺は全面的にバックアップするよ。たとえば閑がお世話になっている弁護士事務所とか……最近欠員が出た、俺の秘書とか……いや、さすがに秘書はまずいか……公私混同まっしぐらになる」
湊はフフッと笑って、それから頬を傾け、夕妃にキスをする。
もし、湊の秘書になったら――。
冗談だとわかっているが、その場面を想像してみた。
テキパキと働く湊のそばにいたら、そして見つめられたりなんかしたら、つい、仕事を忘れて、大好きと言いたくなるに決まっている。
(私も公私混同しちゃいそう……)
夢見心地でうなずくと、湊は「それに、いけないこともしたくなるだろうな」とささやいて、額に唇を押し付ける。
「いけない、ことって……?」
「そうだな……出張と称してデートするとか。人目を盗んでキスするとか? いやいや、神聖な職場を何だと思ってるんだ、まったく」
他愛もない冗談だとわかっているが、その場面を想像するだけで楽しくなってくる。
それからチュ、チュ、と顔じゅうにキスの雨が降る。
「夕妃、うっとりしてる。そんなに気持ちがいい?」
ほんの少しかすれた声で、湊がささやく。