イジワル社長は溺愛旦那様!?
帰宅途中のサラリーマンやOLでごった返した道を駆け足ですり抜けながら、そういえばもう三週間も直に弟の顔を見ていないことを思い出した。
弟の朝陽(あさひ)は高校三年生で、現在はとある男子校の寮に入っている。自分とは似ても似つかない、とても頭がよくて優秀な生徒なのだ。
週に二、三回はLINEや電話をするが、圧倒的実在弟不足だった。
(今度の休みにごはん食べに来るようにメールしておこう。いや、外のほうがいいかな? なにか欲しいものがあったら買ってあげたいし……)
そんなことを考えていると、目的のチェーロに到着した。
ドアを開けて顔をのぞかせると、レジに立っていた青年が顔をあげる。
プリンをくれた彼だ。
「あ、手袋ですね。少々お待ちください」
目が合うと同時に言われて、夕妃は照れながらうなずいた。
「はい」
昼間に来たばかりなのに、忘れ物をしてまた来るというのもなんだか恥ずかしい。
夕妃は邪魔にならないよう一旦ドアを閉め、軒下に立った。