イジワル社長は溺愛旦那様!?

(さすがに会社から近すぎるので湊さんとは来れないけど、朝陽と来るつもりだったのに……)


これでは当分これなさそうである。

しばらくして青年がひょっこりと顔をのぞかせた。


「お待たせしました。どうぞ。店の前に落ちていたので、うちで預かっていたんですよ」


夕妃は差し出された手袋を受け取って、深々と頭を下げた。


「そうだったんですね。でも本当に助かりました、とても大事なものなので、ありがとうございます」


手袋を両手にはめ、その懐かしい感触にホッと胸を撫でおろしたが、今さらながら手ぶらなことに気が付いた。


「そういえば私、なんのお礼も持ってきていなくて」
「お気遣いなく」


そして青年は、じっと夕妃を見つめる。


「――どこかでお会いしましたっけ」


あまり気にしていなかったが、チェーロの店員は改めて見るとなかなかに精悍な顔立ちのイケメンだった。


(うちのほんわか大型犬ワンワンタイプの朝陽くんとは違うタイプだけど……)


< 29 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop