イジワル社長は溺愛旦那様!?
「私ですか? いえ、ここに来たのは今日が初めてです」
「そうですか。変なこと言ってすみません」
青年は少し照れたように笑って、ぺこっと頭を下げる。
「いえ、そんな。私もすぐそこで働いているので、どこかですれ違っているのかもしれませんね」
なにしろいつだって人の多い山手線沿線の駅側なのだから、本当にそういうこともあるだろう。
そして夕妃は軽く頭を下げて、
「じゃあ、本当にありがとうございました」
と踵を返す。
「また来てくださいね」
向けられた爽やかな声に振り返り、夕妃はうなずいて、駅へと向かった。