イジワル社長は溺愛旦那様!?
少々より道をしてしまったが、たいしたロスではない。
夕妃はマンションに戻ってさっそく夕食の準備に取り掛かった。
(今日は和食にしよう。白菜があるし……豚バラと……あと大根はふろ吹きにして、それと……)
手際よく台所仕事を終えて、壁にかかっている時計を見上げると、二十時を回ったところだった。
キッチンのカウンターに置いてあるスマホをチェックする。
特に帰りが遅くなるというような連絡は来てないので、間もなく湊も帰ってくるだろう。
ついでに朝陽に今度の休みに会わないかというLINEを送ったところで、玄関でチャイムが鳴った。
湊だ。
「おかえりなさーい」
パタパタとスリッパの音を廊下に響かせながら、玄関へと向かいインターフォンで外に立っている湊を確認してドアを開けた。
「ただいま」
ドアが開くと同時に体を滑り込ませてきた湊は、そのまま片手で夕妃の腰を抱き寄せる。
黒のカシミアのコートに深緑のマフラーを巻いた湊の体はひんやりと冷たかった。
「車じゃなかったの?」
「途中で下ろしてもらって、五分ほど歩いた」
そしてもう一方の手で、小さな箱を夕妃の頭上に掲げる。それを見て、夕妃は目を丸くした。