イジワル社長は溺愛旦那様!?

「どこかかゆいところはありませんか?」
「ありません」


バスルームで繰り広げられる、どこか楽しげな湊の問いかけに、夕妃がまじめに首を振ると、


「じゃあ流すよ」


頭の上からシャワーのお湯がかけられ、書類を突っ返した指が、夕妃の背中まである髪に残る泡を優しく洗い流していく。

シャンプー、リンス、コンディショナーと、手際よくこなした後は、体まで洗ってくれた。


「ゆっくり肩までつかって。今日は寒かったからね」
「はーい」


言われるがまま、湯船の中に体を沈め、シャワーを浴びる湊を見上げる。

学生時代は漕艇部に所属していた湊は、筋肉質でしなやかな体つきを、大学を卒業して十年経っても維持している。


夕妃は、もう少しやせたほうがいいだろうか、と真剣に考えながら、少し気になっている自分のウエストのあたりに手をやった。


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