恋愛白書
━━バリーンッ


「あっ」


持っていたグラスを落としてしまった。


「ご、ごめん!拾う!」


あたしはしゃがみこんで落ちたグラスの欠片を拾う。


「痛っ」


グラスの欠片があたしの指に刺さる。


痛みと同時に涙が出てくる。

どうして泣いているのかわからない。
丈の好きな人があたしだって自信もない。
最近の態度だとそうなっても仕方ないと思う。


「やしな!」


ドタドタと走ってくるのはタケで。
丈じゃなくてタケで。

丈はリビングでこちらを見てるだけで。

あー。
もうないんだなって思ったら涙がどんどん出てくる。


「え!?そんな痛い!?」


泣いてるあたしに戸惑うタケ。


「あー!もうお前触るな!」


あたしの代わりに散らばった欠片を集めてくれる。


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