チューリップ
赤井さんは相変わらずうっすら笑みを浮かべながら私を見ている。
早くせわしく動き続ける心臓を落ち着かせながら、私は必死に考える。
なんで赤井さんがこんなことをするのか。
過去と現在の恐怖から混乱寸前の頭では見当さえもつかなかった。
情けないことに体はガタガタ震え、涙も止まらない。
「なんかトラウマでもあるみたいね。可哀想に…
でも私にはそんなの関係ない。
私はあんたが消えてさえくれればいいのよ!!」
狭い倉庫に響くその声は怒りで震えている。
表情もさっきまでの不適な笑顔は完全に消えて、怒りが満ちあふれていた。
私の存在が
赤井さんにこんなことをさせてしまってるの?
「赤井さん…
何で?どうしてこんなこと…?
今までのも全部あなたが…?」
「えぇ。結構大変だったんだから。
隠し撮りだって嫌がらせだって、誰かに見られたら終わり…
でも最高に楽しかった!あんたが職員室で驚愕する姿を見るのがね!」
やめて…
そんな風に笑わないで…
私の頭に浮かぶあの人たちと
同じ顔をしないで…