チューリップ

赤井さんは相変わらずうっすら笑みを浮かべながら私を見ている。




早くせわしく動き続ける心臓を落ち着かせながら、私は必死に考える。



なんで赤井さんがこんなことをするのか。





過去と現在の恐怖から混乱寸前の頭では見当さえもつかなかった。





情けないことに体はガタガタ震え、涙も止まらない。




「なんかトラウマでもあるみたいね。可哀想に…



でも私にはそんなの関係ない。







私はあんたが消えてさえくれればいいのよ!!」



狭い倉庫に響くその声は怒りで震えている。




表情もさっきまでの不適な笑顔は完全に消えて、怒りが満ちあふれていた。







私の存在が


赤井さんにこんなことをさせてしまってるの?






「赤井さん…



何で?どうしてこんなこと…?




今までのも全部あなたが…?」



「えぇ。結構大変だったんだから。



隠し撮りだって嫌がらせだって、誰かに見られたら終わり…




でも最高に楽しかった!あんたが職員室で驚愕する姿を見るのがね!」





やめて…




そんな風に笑わないで…






私の頭に浮かぶあの人たちと


同じ顔をしないで…
< 67 / 265 >

この作品をシェア

pagetop