チューリップ
音がした方に目をやると粉々に割れた窓のガラスが飛び散って、太陽の光が射し込んでいた。
その光で誰かの影が出来ている。
「…な…んで?」
赤井さんが息をのむ音が聞こえる。
男2人が立ち上がってやってきた人の方に向かって歩いていく。
「おいっ!!ふざけんな!!!
梨華に何したんだよ!!??」
この声は…
リュウ…。
助けに…来てくれたの………?
「いいとこ邪魔すんな坊主!」
「ヒーロー気取ってんじゃねぇよ!!」
「気取りじゃねぇよバーカ!!!
ヒーローだよ。」
リュウのその声を最後に、倉庫に生々しい殴り合いの音が響いた。
私が体を起きあげる頃にはもう決着はついていて、男2人が血を流して倒れていた。
「ごめんな梨華…
もっと早く気づけばよかった。」
そう言ってリュウは上半身下着姿だった私に、洋服をかけてくれた。
リュウ
ありがとう…
お礼の言葉の代わりに私の目から涙がこぼれた。
リュウは微笑んでそっと私の涙をぬぐった。
そしていきなり険しい顔に変わって、視線を移した。
しゃがみこんで愕然としている赤井さんへと。