溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

 16時過ぎはまだ昼間のように明るい。もう少しで梅雨が明けると予報されていたからか、ほんの少しだけ夏の匂いがする。


「今日は難しいことは考えないこと」

 迷っている私の心を見透かした彼は、自らも運転席へと回り込む。

 愛車は誰もが知る高級外車。驚かなかったのは、車通勤しているのを知った社員が話題にしたことがあって、車種や色まで耳に入っていた。
 嫌味なく爽やかに乗りこなす左側の姿は、芸能人にも引けを取らない雰囲気がある。



「社長はドライブがお好きなんですか?」

「そうだね、よく乗ってる。ドライブもショッピングも好きですよ。インテリアショップなんかは特に」

「社長室の調度品はご自身で?」

 視線を向けた先で、頷いた彼は眼鏡の奥からやわらかな眼差しを見せた。


 2人きりとはいえ、幾分か車内は快適だ。
 街を歩くよりも人目を気にしなくていいし、どこに向かっているのかわからないけど、社長もご機嫌なようだ。


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