溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「椎茸を栽培していて、運転中に鼻歌を歌う人だとは、あまり思われてないですよね」
「そうだろうね。勝手に印象を作られてるところは大いにあるよ。椎茸の件は、つき合いの一環だから誤解しないで」
「かしこまりました。でも……イメージが違うのは気にされないんですか?」
「別に構わないよ。誰かに迷惑がかかることなら訂正するけれど、そうじゃないならお好きにどうぞって感じかな。それで仕事や会社がダメになるようなら、どんなふうに思われていても同じことだと思うんだ」
「そうですか……」
穏やかな雰囲気はいつもと変わらないのに、今日の彼は今までになく親しみやすい。もし、これが世間のイメージと大差なければ、記事になることもなかったのかな。
「本当はどんな男なのかなんて、知っていてほしい人だけ解っていてくれたら十分」
「雨賀さん、ですね」
「彼女は…………あ、着いた。ここに来てみたかったんだ」
ちょうど目的地に着いてしまって、言いかけていたその先が雲隠れしてしまった。
何を言うつもりだったのか問う気にもなれないのは、この前キスをしていた2人の姿を思い出したからだ。