溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
横浜の赤レンガ倉庫を通り過ぎ、大さん橋を横目に空いているパーキングへ車が停められた。
「白埜さん、イタリアン好き?」
「はい」
「桃園社長にもっと素敵な店に連れて行ってもらってると思うけど、今日は俺の好みでごめんね」
「そんな……社長こそお気遣いなく」
気を遣わないようにと言ったのは社長なのにと微笑むと、一瞬だけ息をのんだような表情が返された。
案内された席に座ると、おもむろに眼鏡を外して目頭を押さえる姿に見とれてしまう。
特別な感情がなくとも、人の視線を集めてしまうのは彼の美しさのなせる業だ。もっとも、ご本人はそんなことはどうでもよくて、見たければどうぞと言わんばかりに堂々としているけれど。
「あの、あえて聞きますけど」
うん、なに?と友達のような相槌にはまだ慣れず、調子が狂う。だけど、この際だから聞きたいことは聞いてしまおうとも思えた。