溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

 食材はすべてオーガニックにこだわっているらしく、季節野菜のピザやサラダ、ドレッシングに至るまで、とても色鮮やかで嫌みな味はしない。

 桃園さんが連れて行ってくれるお店はどこも高級で、実際に会計を見せられたことはないけれど、ネットで調べればおおよその値段は分かる。
 正直言って、値段の割に満足しないのは、緊張してしまうからだと思う。場違いにならないように、買ってもらった服で毎回着飾って行くのが、精神的にも味覚的にもそろそろ限界になりそうで……。



「どうしたの?美味しくなかった?」

 フォークを持つ手を止めて考え事をしている私の様子を、葛城社長が覗き込んでいる。


「いえ、とても美味しいです。こういうところで食べるのが久しぶりっていうか」

「あぁ、やっぱりもっと良い所のほうが口に合う?」

「違うんです!」

 慌てて否定したら、思いのほか勢いが過ぎた。
 驚いた顔の彼がまばたきも忘れているから、私も見つめてしまった。


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