溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

「……どうした?」

 じんわりと温かく包むような声色がズルいと思った。


 冗談でプロポーズをするような人。
 仕事のためなら、私生活を多少なりとも切り売りすることもある。
 どこに住んでいるかも知らないし、何を考えているかは線引きをしたそれ以上を語らない。


 だから、社長の告白は冗談であってほしい。

 こうして一緒にいると、桃園さんといる時のような緊張をせず、自分らしくいられると気づいてしまったから。



「……社長は、なんで私に告白したんですか?可愛げもないし、素直じゃないし」

「まぁ確かに、全くもって可愛げはないけど。白埜さんみたいな子、塩対応って言うんだよね?」

「好きでそうしているつもりはありませんが、これが私にとって普通なので」

 こういう言いかえしも、きっと可愛げはない。ニコニコ笑って、そうですねって小首のひとつでも傾げておけばいいのだろうけど、それができないからこうなっているわけで。

 ただ、こういう言い合いも、桃園さんとはできない。


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