溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「俺はいいと思うよ。誰彼構わず媚びるより、ずっと気分はいいからね」
「私みたいな女の、どこがいいんですか?」
「自分の仕事や、その未来のビジョンに熱心に耳を傾けていてくれるから」
「社員なら、全員そうだと思いますよ。うちのように、社長と社員の距離が近い会社は特に、社長にも会社にも興味を持っているはずです」
同期や後輩、先輩……考え方は十人十色だけど、誰ひとりとして社を嫌っている人はいないし、意見があれば耳を傾ける風潮がある。
働きやすさの評価も高いから、中途採用のエントリーも後を絶たないのだ。それは、社員が会社や社長を好いていて、興味を持っている証拠の1つに成り得るはず。
「だけど、白埜さんは違う。ブルーメゾンに興味は持ってくれているけど、俺には興味がないでしょ?」
「……」
食事を終えて、外していた眼鏡をかけ直した彼は、にこやかに微笑んだ。
「俺が先に興味を持ってしまっただけです。だから、今は片想い」
アイスコーヒーのストローで、褐色に浮かぶ透明の氷を泳がせるその指先に、私は視線を逃がした。