溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「社長、何かご用があったのでは」
「うん。話しかけていいタイミングを計ってたんだけど」
「いつでも大丈夫です」
「それなら遠慮なく」
突然感じた香りと、明らかなその気配に息をのむ。
「少し早いけど、お誕生日おめでとう」
驚いて振り向こうとしたら、後ろから回った指先で顎にストッパーがかけられた。
「こっち見ないで。……キス、しちゃう距離にいるから」
かぁっと熱を持ちはじめた頬をそのままに、身動き1つ取らずにPC画面を見つめた。
「あの、どうして私の誕生日なんかをご存じなんですか?」
「好きな子の基本情報くらいは集めるでしょう?」
しれっと答えた社長の声が耳元で聞こえる。
囁かれていなくても、その息遣いに髪がかすかに揺れて、距離感に目眩がしそうだ。