溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

「あの……」

 緊張しちゃうなぁ。こういうの慣れてないから、どう話せばいいのか……。


「はい」

「今夜のご予定はいかがされていますか?もし空いているようでしたら、この前と昨日のお礼をさせていただきたくて」

「お礼?白埜さんの誕生日なのに、私がご馳走になるんですか?」


 言われてみれば、変なタイミングだ。
 社長が笑って、私もつられる。だけど、社長は私が笑顔を見せると、いつだって視線を止めてハッとした顔を見せるんだ。
 そんなに変わったことなのかと思うけれど、私が日常的に塩対応過ぎるのがいけないのだろう。



「悪いけど、遠慮させてもらうよ」

「え……」


 断られて、ぺしゃんと一気に潰れる何か。

 それが心のど真ん中にあると、いま知った。


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