溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「気を遣わせてしまってごめんね。でもね、単に俺がしたかったことをしただけなんだよ。ツラそうだったから屋上に連れて行ったし、お祝いしたかったからおめでとうって言った。
何も変わったことなんてしてないから、気持ちだけで十分ですよ」
「だけど……」
「いいんだよ。別れてほしいって思ってたのは事実だけど、それが現実になったからって“じゃあ”ってわけにはいかない。
白埜さんが元気になってくれたなら良かったし、俺はそれでいい」
「……ですよね。そう仰ると思ってました。でも、本当にありがとうございました。今日はいい1日になりそうです」
捲し立て気味に言って、社長室を後にした。
社長が良くても、私は良くない。
苦手だと思っている節もあったけど、優しいだけじゃない一面に触れるたびに、心のどこかで、瞳の中で、社長を探すようになった気がしてならないのだ。