溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
毎月の社内報に載せるインタビューをするために、社長室を訪れる。
好きな人のいる空間にいられることがどんなに幸せか、今さら噛みしめて口元を緩めつつ、上階でエレベーターを降りた。
「今回のテーマは、新商品の開発についてだったけど、変更していいかな」
「構いませんが……」
「広報の白埜さんなら分かっているでしょうけど、今まで通りを1度壊して、得たものを並べて積み上げて、また新しいステージに立つための土台を作っているところです。
それが社員の皆さんに感じてもらえているかはわからないけど、今までなら思いつかなかった商品を開発してくれたり、世の中の反応も変わってきているんです。
飽きられているということでもなく、定番と革新的なものの両方を併せ持った1つの企業としての在り方を問われているタイミングなんだろうと、そう思っていて――」