溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
熱のある言葉がボイスレコーダーに吹き込まれていく。
大きくて綺麗な手を広げて伝えようとしている仕草や、笑っているその表情を残すために、幾度となく私のタイミングでデジカメのシャッターを切る。
「白埜さん?」
「は、はい」
「今日は随分と撮るね」
「……素敵な表情をされていたので」
「それはどうも」
不敵な笑みを浮かべられると、居場所がなくなる。気持ちを知られてはいけないのに迂闊だった。
「失礼します」
秘書が入ってきて、来客を告げた。
「構いませんよ、こちらは社内報ですからお通ししてください」
「お客さまでしたら、また後ほど伺います」
記事の要約を書き留めていたメモとデジカメを手に立ち上がると同時に、社長室のドアを開けてやってきたのは、桃園さんだった。