溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「社長は、どうしてあの時私を見つけてくれたんですか?」
「あの時?」
「私が失恋した夜です」
「あぁ……まぁ、偶然って言ったらそれまでだけど」
間違いなくそうだろう。私が普段歩かない街を、社長は会食の帰りで通りかかっただけ。
あの日、彼が涙を許してくれなかったら、もっと傷が深かったはず。断ち切るための大切な時間だったと思う。
だけど今は、それすら運命だったって思いたい。
占いとか含めて押し付けがましい診断ものはあまり信じないほうだったけど、もしこの世にそれがあるのだとしたら――。
「千夏ちゃんが悲しい時は、いつだって傍にいたいと思うんだよ。別に特別なことじゃないでしょう?」
言い終わって、グラスを傾ける横顔に視線を寄せる。
社長がそんなことばっかり言うから、いつの間にか恋をしちゃったんですよ、私。