溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
食事をしたら、帰すつもりだった。
待ち合わせた駅まで送って、そこでデートは終わり。
自宅まで送ったら、きっと引き留めてしまうから。
キスくらいして、まだ恋をしていたいと告げてしまいかねなかったから。
でも、彼女の気持ちを聞いたら、帰せなくなった。
みなとみらいが夜景に変わって、コスモクロックが回る。
大さんばしにいるのは、仲のいい家族や恋人ばかり。
失恋した男と、その男を振った女がいるような場所ではない。
「コスモクロックに灯りが点いた瞬間、願い事をすると叶うんだって」
大して興味がなさそうな反応をされたけど、別にいい。
俺がいま作ったジンクスだし。
これで叶ったら、それこそ奇跡じゃないかって思える。
観覧車に乗っている人から、俺は見えていないだろうけど、煌めくコスモクロックに姿を変えた観覧車は、俺から良く見える。
何を思っているか分からなかった彼女が、俺をどう思っているかなんてわからなかったけれど。
告白をして振られてしまっても、こうして一緒にいればわかることもあるんだよ。
――今、隣にいる女性が本気で恋をする、その相手になれますように。
失恋、撤回。
俺を振ったこと、後悔させてあげる。


