呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

何でこんなところで?とか。
思うことすら出来なくて、ただ目の前にいる桜木さんにビックリして声を出すことすら出来なかった。


「あれ?三田村さん?おーい」


そう言いながら手を目の前で左右に振られ、意識が戻る。


「っ、は、はい!三田村です!」

そう言って思わずお辞儀のように下げた頭の上から「ブッ、」と吹き出す桜木さん。
何か前にもこんな風に笑われたような。

そう思ったら可笑しくて。

あんなにガチガチに固まったいた気持ちが楽になった。

「ふ、ふふふ。すみませんビックリしちゃって。こんばんは桜木さん」

「こんばんは。こんなところで会えるなんて偶然だね」


『会えるなんて』
なんて、さらりとした何気無い一言にドキリとする。会いたいと思ってくれてた?
とか、思いあがってしまいそうに一瞬気持ちが浮遊してすぐに下降する。

そんなわけないじゃん。

軽く自己嫌悪になりそうなため息を飲み込んで、笑顔を見せた。


「マンションが近くて。桜木さんはお仕事ですか?遅くまでお疲れ様です」

「うん、仕事は仕事だけど三田村さんは?━━えーっと、デート?」

「へっ?いやいやいや私も仕事です。3月は忙しくて。それにデートに行くような人なんていませんしね」


こっそりとフリーな事を織り交ぜて、あぁ嫌だ。がっついてる感じとか、そんな風に思われたかな。


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