呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
「ここ?」
「はい。本当にありがとうございます!桜木さんも気を付けて帰ってくださいね」
「うん。……あっそうだ、最近あそこ行ってないの?」
「あそこ?……っ!ええ。卒園式まで忙しくて、こんな風に夜遅いと寝坊しちゃうことが多くて、、」
一瞬『あそこ』の場所が分からなくて。
でも、そうだよね。
私たちはあの場所しか知らない。
本当の理由は言えないけれど、今日会えたことで明日から又行けるようになるかも。
うじうじしている暇なんて無い。
まだこれから頑張ればいいだけだ。
「桜木さんはお仕事忙しいですか?行けてます?」
「うーん。ちょっと忙しくて少しいけなかった時期はあったんだけど、最近はいけてるかな。でも三田村さんに会わなかったからどうしたのかと思って……っ、」
探してくれてたのだろうか。
顔見知りのなかでも、今日こうやって話しかけてくれたあたり知り合い枠くらいには昇格されていたのかもしれない。
ははっ、ささやかだけど嬉しい。
「今日、頑張ったんで又私も行けるようになると思います」
「うん。また、ね」
「はい、今日は本当にありがとうございました」
「はい、じゃあこれ食べて寝ましょう」
手渡されたおでん。
あわわわわわわ!!!
なんて事!
「す、すすすすすすみません!!買って貰いながら持たせ続けていたなんて!」
「なんで?いいよそんな事」
「でも、ほんとーにごめんなさい。あれ?でもこれ多くないですか?」
手渡されたおでんには大根1つ、な筈。
にしては重い。
いや、軽いんだけど、重い。
頭を傾げて袋のなかを覗いてみると、あきらかに大根以外の丸いたまごが。
「あ、あの。そういえば桜木さん用のも頼んでませんでした?」
「うん、ああ!もしかして袋1つになってる?……なってるよね。僕も1つしか受け取ってないし」