呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
「さっ、食べましょう!はい!手を合わせましょう、戴きます」
いつもの癖で、子供達と食べるように手を合わせることを強要して合掌する。
ハッ、ここ家だった。
呆気に取られて呆然としている桜木さんに気付いて慌てて弁明する。
「あのっ、すみません。子供達以外の人と食べるのが久しぶりで。思わずっ、、」
「ブッ、クククククク……」
「わ、笑いすぎ……」
「ククク、悪い。すげぇ子供扱いされた気がする」
「もうっ、食べちゃいますからね!」
あぁぁ。恥ずかしい。
こんな職業病嫌すぎる。
「悪い、悪い」
なんて言ってお皿に取り分けたおでんに手をつけている。
何だろう。
物凄くくすぐったい。
まるで、昔からの知り合いのように。
仲の良い友達?カップル?
心地よい空気感が、
軽口を許してくれる二人の距離感が、
私が彼の隣にいていいんだって教えてくれるみたいで。
バカみたいに幸せだった。
しかしそこはやっぱりおでんで。
あっという間に食べ終わってしまう。
時間も時間だから引き留めるわけにもいかなくて。
だけど、この幸せな空気が私を欲張りにさせる。
もう少し。
あと少しだけ。
又、こんな風に過ごしたかった。
一緒に笑ってご飯を食べて。
気軽に誘える権利が欲しくなってしまったんだ。