呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
すたすたとカウンター越しにコーヒーを受け取り、席に戻るなっちゃん。
ただそれだけの事に何故か息を飲んで動向を見守ってしまう。
その場の空気が重い。
「…………ど、どうかしたのかい?」
マスターの伺うような声音をきっかけに雄大が再びにじり寄る。
「央、ちゃんと話そう?」
「私、今仕事中なんです。お客じゃないならお帰りください」
「ヒロ!」
「っ、」
いかにも訳有りな会話にマスターも居心地が悪そうだ。
「央ちゃん、雄大くんと知り合いなのかい?良かったら今日は上がってもいいんだよ?」
「いえ、大丈夫です。すみません、お騒がせして」
「ヒロ!」
気まずい空気が流れる。
カチャリ、とコップの擦れる音がして思わず音の出たなっちゃんの方に視線を向けてしまった。
それは雄大も同じだったようで、振り返っていた。
「央、今日はマスターに甘えて上がらせてもらったら?」
「なっちゃん!」
「いやーこんな修羅場見ちゃったらそこの元カレが帰ったとしてもマスターが気まずいでしょ」
「っ、」
「い、いやぁ……私はいいんだよ?だけど、話した方がいいんじゃないかい?」
「央、頼む。ちゃんと話そう?」