こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「一緒に帰る約束してるの」

「…あ、そ」

「じゃあね森野。また明日」

「…ああ。またな」


わたしに顔も向けず視線をさまよわせる森野を残し、生徒指導室を出る。

廊下にはわたし一人の足音が妙に響いて、すこぶる気分が悪い。


これから深瀬くんと一緒に帰れるというのに、テンションはだだ落ちだ。


──深瀬くんと帰ることを、嘘をつく必要なんてない。隠すこともない。むしろはっきり言わなきゃいけない。


あれって、まだわたしのことが好きなんだよね?きっと。

思い込みではないよね?思い込みであってほしいと願いたいけれど。


「失礼しまーす」

「おせーぞ逢川。ちょうど帰るとこだったんだからな」

「だからこの量が狂ってるんです!」

「普段の行いだ馬鹿野郎。ごくろーさん。早く帰れよ」

「言われなくても帰りますから!さよーなら!」


勢いよく職員室のドアを閉める。


──森野って、女を見る目ないよ。

こんな汚くて残酷な女、そうそういないよ?わかってる上で好きなの?まさかだよね?

森野を事実上ふっておきながら、すぐ後ろの席で深瀬くんとやりとりしてるんだよ?

無神経極まりないでしょうが。


…う。わたしってほんっとに最低…。

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