完璧な彼は、溺愛ダーリン
ちらっとこっちを一度見た栞はすぐに逸らす。
何事もなかったかのように掃除を再開した。
彼女へ一歩近付くと私は、切り出した。
「今、少しだけ話ししたいんだけど……いいかな」
いつもより早く出たのはその為だ。
話す時間が欲しかったから。
栞はいつも出勤時間が早かったから、それに合わせたらいいと思った。
「……何? 話すって。傷口に塩でも塗りに来たの?」
「塩、ってそんな風になんか」
私が首を振りながらそう口にすると、栞の怒気を含んだ言葉が遮った。
こっちをキッと鋭く睨みつけている。
「昨日、私がどれだけ惨めだったかわかる? 睦実に言われたから紹介した先輩の事も置いてけぼりでさ。
残された私と先輩は一言も喋る事なんて出来なかった。ごめんって私が謝るのもおかしいでしょ?
そのまま苦笑いのまま帰るしかなくってさ、泣きながら電車に乗ったんだよ。
彼に振られたんだ。私。それから、直接言われたんだよ。三石さんが好きだって。
ねえ、信じられる? 私じゃなくて睦実が好きなんだって。何がダメなんですかって聞いても、君がダメなわけじゃないってそればっか。
そんなの納得出来ると思う!? 好きだったの、私の方が好きだった。ずっとずっと好きだった。
何で? 何で私じゃダメなの。何が違うの。睦実と私の何が違うの……」
一気に捲し立てた栞は顔を歪めて、涙を流した。
筋となって頬を流れていく。